全国的に空き家数は増加傾向にあり、本市も例外ではありません。空き家の発生は、地域の経済活動の低下(社会的非合理性)及び外部不経済(景観の悪化、防災性の悪化、不法投棄・空き巣等の誘発、衛生環境の悪化等)をまねく恐れがあることから、個別の問題ではなく、地域の問題として取り組む必要性が高まっています。
しかしながら、空き家は、個人資産であり、その利活用に際して、行政が積極的に介入することは、一部の人の資産価値の向上を支援・補助することにつながり、「地域住民に不公平感を与えること」及び「空き家所有者や関係者による責任放棄」につながる懸念があることから、望ましい姿ではないと感じています。
一方で、まちづくりにおいては、「地域住民が豊かさを感じながら、ずっと住み続けたいと思われる街」の実現に向けて進んでいくことが大切ですが、空き家の増加は、土地の最適利用がされず、非効率な市場の拡大を助長するといった懸念があります。
行政の役割は、地域課題を解決することです。
そのためには、個人で解決できない問題(地域課題)を行政が対処するという事ではなく、行政が規制緩和やサポート体制を構築する等、仕組みづくりを行い、民間に任せるところは任せる等、民間と連携し、地域が一体となって課題を解決していくことが重要となります。
「長年住み続けている(住み続けた)実家をどうするのか?」
空き家の発生を抑制したり、利活用を促進したり、管理を継続するために、空き家所有者の個別の事情を汲み取りながら、解決へ導くことができる空き家相談窓口を設置し、その組織と行政がどう連携していくか、サポートしていくかが空き家の課題だと思います。
また、地域で利用できる場として、空き家を提供してくださる所有者の方に対しては、行政が積極的にサポートしていくことで、空き家を「地域の資源」として活用でき、「地域住民が豊かさを感じながら住み続けられるまちづくり」に繋がるのではないでしょうか?
◇ 利活用や処分ができない(空き家にしたくない)
〇 相続により共有持ち分となり、合意形成ができない
〇 認知症等で意思能力がなく、法律行為ができない
〇 改修費用や解体費用を負担できない
〇 売却、賃貸共に市場性がない
〇 どうしてよいかわからない
〇 自分の代で手放せない(親戚の目がある)
〇 将来、利用するつもりがある
◇ 利活用や処分をするつもりがない
〇 仏壇の存在
〇 家財整理等、片付けが必要で手が回らない
〇 他人に貸し出すことに抵抗がある
〇 空き家を所有することにデメリットを感じていない