富山地区担当の原田です。
長編になってしまった「炭焼き修行はじめたよ」シリーズの第1段もこれが最終編です。
前編 と 中編 はこちらから~
ステップ6
~窯を蒸す~
空気を遮断して蒸すタイミングを左右するもの
1.窯の構造
窯の大きさ、空気の流入量によって・・・
なので、窯の持ち主がその炭焼きの師匠
2.原木の乾き具合
生木(切ってすぐ)と乾いた木で
炭化のスピードは違います。
伐採からの時間、割ってからの時間・・・
師匠曰く、
乾いた木は諦める覚悟で、全部が炭化したタイミングを見計らうべし
3.原木の種類
樹木の種類によってつまり具合も違います。
例えば、
ヒノキなどの針葉樹はスカスカなので、炭化が早い
竹は高温になりやすく窯の中の温度を上げやすい
4.原木のくべ方
隙間なくくべている場合、
隙間だらけの場合、
窯内の空気の量が全然違うので影響します。
くべる時の熟練度が問われます
5.窯の温度
窯の温度は蒸すタイミングより
点火までのタイミングを左右します。
と、色々な要因がありますが、
師匠は長年の経験から、自分が蒸し作業のしやすい時間帯
になるように見計らいます。
最終的には煙の様子や煙突の内側の色、窯の表面の温度でジャッジ!
今回は焚き付けに手間取ってしまい、
蒸すタイミングが朝5時半になってしまいました。
夜11時頃から何度か様子を見に来て、
師匠に聞いた見極めをやってみて
結局、うたた寝しているところを
野菜の収穫を始めたばあから電話で起こされ
炭窯にすっ飛んで行きました。
煙の違いは一目瞭然、でもタイミングの見極めは難しい。
青白く、煙越しに向こうが見えるくらい
この頃には煙を蒸留して集めていた木酢液も出なくなっていました。
これは着火直後の水蒸気
窯口と同様に焚口をふさぎます。
状況としてはこの段階
焚口近くの原木はどうしても燃えて灰に・・。
なので点火しやすく、なくなってもいいような
細い木をくべておきます。
ステップ7
~炭出し~
窯を開けました!
手前は燃えて灰になり、
炭化で収縮した分、隙間ができ、
奥へ倒れ掛かってます。
先端も多少燃えてます。
全部出してこの量!
軽トラ3杯分の原木がだいぶ少なくなりました。
地面についている部分は根燃えといって、
炭化が不十分なことも。
この赤茶色がその証拠
ステップ8
~炭切り~
昔ながらの手ノコで裁断作業
1人でやったら1日以上かかりました。
炭の粉が出るので鼻の中まで真っ黒!
今回の収穫物
炭 およそ120㎏
木酢液 6リットル
作業をしながら、師匠が若いころの炭焼き文化について教えてくれました。
前編では、車のない時代、川下りでの炭の運送を紹介しました。
師匠が若い頃は道路が通っているけど、
エネルギー革命前で、木炭が生活必需品の頃。
6tトラックに炭俵(10㎏以上)を
12段以上積み上げて売りに行っていたそうです。
「どうやって積み上げるかって?
下からほおって収まりよく積み上げるんじゃよ」
・
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・
そんな・・・
重い、しかも壊れ物を・・・。
すごいバイタリティー
枝葉のついていたものは葉っぱもそのままで焼きあがりました。
次回はオブジェやインテリア向けの炭焼きを混ぜながら、
「燃料としての炭」以外の可能性を模索してみます!
前編
中編