こんにちは。
空き家担当の土居です。
今回は、傾きのある建物への『柱の調整』要領についてご紹介します。
建物には、何処かしら傾きが発生していると私は考えています。
【傾きの主な原因】
① 白蟻や雨漏り・湿気による柱の腐食による沈下
② 地盤沈下
③ 施工不良
傾きの原因を特定した後は、その原因に対する対策を講じた上で、処置を行うことが重要です。
① 白蟻や雨漏り・湿気による柱の腐食による沈下が原因の場合は、柱の補修・交換は処置になりますが、その基の原因となる白蟻、雨漏り・湿気への対策を行わず、柱の交換だけを行った場合、数年後に同じ症状が再発するでしょう。
白蟻が原因の場合は、白蟻用の薬剤を木材に塗布することも大事ですが、床下に湿気がこもることで白蟻が住みやすくなっている場合は、通気・換気の改善も必要になるでしょう。
また、雨漏り・湿気が原因の場合においては、水の侵入経路・湿気の原因を特定して対策することが必要となります。
② 地盤沈下が原因の場合も同様に、柱のジャッキアップによる傾きの補修は処置になりますが、その基の原因となる地盤沈下の対策を行わずに、ジャッキアップを行った場合、数年後に同じ症状が再発するでしょう。
もともとの地盤が弱く、継続的に傾きが進行している場合は、地盤改良が必要と考えますが、地盤沈下の過程で、地盤が押し固められていくことで、近年では沈下(建物の傾き)がおさまっている場合や、建物は数年だけ使えればいいという場合は、割り切って、対策は不要と考える事も出来ます。
③ 施工不良が原因の場合は、もともとの施工が歪んでいますので、傾きを補修(処置を行う)することで解決します。
以上、傾きの主な原因となる3つのケースについてリフォームの考え方をご紹介しました。
DIYでリフォームを行う時の鉄則は、ケガをしない・させない事ですが、建物の傾きを補修するためには、構造躯体(基礎・柱等)に手を加えることになるため非常に危険ですので、専門家の助言を受けながら行うことをお勧めします。
それでは、本題の柱のジャッキアップの要領についてご紹介します。
今回行った手順については、
1 柱の傾きを計測
2 地盤の点検
3 配管等の有無を点検
4 ジャッキを設置
5 ジャッキアップ
6 ジャッキアップ後の景況を確認
1 柱の傾きの計測
① レーザー水準器を設置する。
② 床からレーザーまでの高さを記録する。(全ての柱)
③ 全体の柱の沈下具合から、ジャッキアップの目標とする柱(目標値)を決定する。
上限:どの柱の高さを基準にしてジャッキアップするか?
下限:6/1000以内の傾きを下限とした場合、必要なジャッキアップの高さは?
簡単な間取り図を作成して、柱の位置に数字(床からレーザーまでの高さ)を記入することで、柱沈下量の全体像が把握しやすくなる。
必要な地耐力(10t/㎡)を保有していることを点検する。
⇒ 革靴の踵(または8cm四方64c㎡の板材)に体重(64kg)をかけて、沈まなければ、地耐力10t/㎡に相当すると評価
ジャッキアップすることで、配管等に影響がでないか点検する。
ジャッキは短いスパン(50cm間隔)で設置する。
ジャッキは、半回転~1回転毎に、作業を止め、全体の状況を確認しつつ慎重に行う。
ジャッキアップした後は、こまめにパッキンを入れ、万が一ジャッキが外れても大きな衝撃にならないように注意する。
当初は、仮パッキン(合板を切断したもの)を入れる。目標の高さまで引き上げた後は、樹脂製のパッキン(ホームセンターで調整パッキンとして販売されている)と入れ替える。
6 ジャッキアップ後の景況を確認する。
レーザー水準器を使用して、調整後の傾きを計測し、効果を確認する。
全体的な違和感(壁とのバランス等)がないか確認する。
(左に傾いた柱が残る場合は、左の窓を少し下げるような完成イメージが描けると良好)
特に、ジャッキアップを行う場合は、作業に没頭して、不安全な状況に気付かず大きな事故を引き起こしてしまう可能性があるため、全般を監督・指導する人が必要と考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
次回は、開閉できなくなった窓の調整についてご紹介します。