四万十市地域おこし協力隊四万十市地域おこし協力隊

2021年11月15日
【まちづくり通信vol.11】美しい景観は人生を豊かにする―四万十市が和の景観に取り組む意義―

投稿者:土居佑志 投稿日:2021年11月19日

 私は、大阪で生まれ育ちましたが、通っていた高校は河川敷沿いにあり、通学で毎日のように赤川鉄橋(赤鉄橋と響きは似ていますが…)を渡っていました。

 その堤防から見える位置に、クリスマスシーズンになると、毎年イルミネーションを飾付けしている一軒家がありました。

 最初にそのイルミネーションを見た時は、自分が貧乏な家庭で育っているという劣等感から「お金に余裕がないとできない遊びだな」とか「自己満足だな」とネガティブな感情がはたらいてしまいました。

 しかし、部活帰りのある日に、そのイルミネーションを見ていると、身体の内側から元気が湧いてくるような感覚を覚えました。その日をキッカケに、イルミネーションの見え方が変わって帰り道が楽しくなり、クリスマスが終了してイルミネーションが撤収された時には、残念な気持ちになりました。

 私が最初にイルミネーションを見た時の感じ方が一般的なのか、少数派なのかはわかりませんが、そこにあるキレイな景観を見て、シンプルにキレイと感じるだけで、豊かな気持ちになれたことは言うまでもありません。

【土佐の小京都の歴史・文化を育む都市づくり ー四万十市が和の景観に取り組む意義ー】

 四万十市は、応仁の乱を避け京都から下向してきた前関白の一條家が約100年にわたりまちづくりを行った都市で、今でも、一條大祭や一條太鼓、大文字の送り火など、当時の文化や歴史が残っています。

 また、小京都と呼ばれる地域は、全国に約40箇所ありますが、四万十市が他の地域より特徴的なのは、時の総理大臣である関白が実際にこの地域に腰を据えてまちづくりを行った場所というところです。

 残念ながら、昭和10年の台風や昭和21年の南海大地震により、当時の町並みのほとんどが失われてしまいましたが、自然と調和する「和の景観」を大事にしたいという意見の背景には、一條家から引き継いできた街の歴史を目に見える形で次の世代に残していきたいという想いがあるからではないでしょうか?

【今後の景観への取り組み】

 私のミッションの一つに中心市街地が抱える景観の課題に関する協力活動がありますが、これまで実施してきた「まちづくりアンケート」の結果から、景観については、「豊かな自然を活かす」「自然と調和する景観(和の景観)」という方向性ですすめていくことが求められていると感じています。

 今後は、「美しい景観に人が集まり、そこから賑わいが生まれること」を信じて、景観に関するイベントを試験的に行い、意見をいただきたいと思っています。応援・ご協力をお願いします。